小学校のサッカーチームのメンバーたちが学校の怪談、トイレの花子さんの話をしている。それを聞いた我らがゾロリ一家は、噂を本物にしようといたずらに精を出し…
90年代に流行したJリーグ開幕(サッカーブーム)と学校の怪談の王道「トイレの花子さん」の夢の競演。よくこの組み合わせを考え付いた。ゾロリもすごいが、作者の奇想天外なアイデアも素晴らしい。
当時、刺繍糸を使って手作りミサンガを作るのが流行った。切れると願いが叶うらしいが、何を願ったのか、叶ったのかさっぱり覚えていない。本を読みながら、懐かしい思い出に浸ってしまった。
そんな90年代の記憶がなくても、本書は充分に面白い。
学校の怪談がいつの間にかサッカー対決に展開していくのが、むちゃくちゃで、妙なキャラクターもたくさん登場して愉快だ。
ゾロリの嫉妬や気分の変化が、絵本の画面を飛び出した演出で表現されていたりして、読者が強制的に物語りに参加する羽目になり、退屈できないように執念深く工夫されているところが素敵だ。
どんどん自由になっていくゾロリに注目している。
こんなに好き勝手やって、羨ましい。