りっぱなお城、優しい王様とお后様。
贅沢なおもちゃ、ドレス、ごちそう。
全てに恵まれて幸せいっぱいに思える、
おひめさまのエスメラルダ。
でも、唯一恵まれていないのは、うつくしくないこと。
鼻はツンと上を向き、
口は面白く無さそうにへの字、
瞳はいつも輝きがありませんでした。
賢い物知り博士のお医者様でも治せません。
もう「魔法」にすがるしかない・・・
しかし、この物語の素晴らしいところは、
魔女も魔法使いも出てこないところです。
おひめさまを「美しくします」と言うグッドウィット夫人は、
魔女などではありませんでした。
美しい5人の娘を育てる、貧しい普通のお母さんです。
ただ、グッドウィット夫人は大切なことを知っていたのです。
三月が三度過ぎる間、エスメラルダにそれを教えてくれました。
美しい心は、美しい表情となってその人の魅力を引き出すのです。
40年前に出版された本を復刊するにあたり、
出版技術が変わっているにもかかわらず美しい挿絵の色合いもそのままです!
一見地味なこの児童書を、こんなにも美しく復刊して下さった
瑞雲舎さんの企業理念が、きっと美しいのだと思います。
この良書が、たくさんの子ども達に読まれますように。