各ページの大半は白紙です。
その真ん中あたりに、線画でおばあちゃんの一日が描かれていきます。
何気ない一日なのに、考えてしまう絵本です。
おばあちゃんはさかなを釣るために朝の5時に起きます。
食事をして、身支度をしたら、小舟に乗って一人で釣りに出かけます。
一日中舟に乗って、魚を釣って家に帰ります。
そして釣った魚を食べて、片づけものを済ませたら、明日の釣りのために就寝するのです。
なんとシンプルで、なんとルーティーン化された毎日でしょう。
この生活には変化がありません。
モノクロームの作品なのに、なぜだか途中で「向こう岸の黄色いボート小屋」が登場します。
それはおばあちゃんを見ている黒い瞳なのです。
単調な毎日で、誰とも接点がなさそうなのに、ここだけに他者との接点がありました。
読んだ人はただ通り過ぎるだけでしょうか。
何かを感じ取るのでしょうか。
コブスタインから投げかけられた、問いかけのような絵本です。
私は、このルーティーンをどこかで崩したいと思いました。