バートンの作品は、「きかんしゃ」でも「スチーム・ショベル」でも、人間と同じ仲間、あるいは、子どもたちのヒーローのように、表情も感情も豊かに描かれているところに共感がもてますね。読んでいるうちに、自然と力が入ってきて、いっしょに応援したくなってしまいます。
娘も、スチーム・ショベルのメアリ・アンが一生懸命穴を掘っているシーンでは、いっしょになって、本のセリフ通り、“Faster faster faster!”(もっともっと早く、早く)と、両手を使って、わっせわっせと穴を掘る真似をしています。そして、新式のショベルに仕事を奪われてしまう場面では、本当にメアリ・アンの気持ちになって、しょんぼり。古くなった他のスチーム・ショベルたちがごみの山に捨てられ、錆びつき、壊れてしまった絵を見ても、同じようにとても悲しんでいます。
なので、新しい市役所建設のための大仕事を得たときには、本当に、がんばれ、がんばれの手に汗握る大声援で、メアリ・アンと一体になって(!)穴掘りをしていました。
でも、メアリ・アンが地下室のボイラーとして働くことになったエンディングに対しては、(胴体がボイラーに変わり、スチームの煙突が壁に接続された絵を見て)「えっ、壁につながっちゃったの? もう動けないの? じゃあ、穴掘りは?」と、ちょっぴりさみしくなってしまった様子。市役所建設前に、掘った穴の中にいるメアリ・アンのところに、町の人たちがはしごを使って下りてきたページに戻って、「メアリー・アンも、はしごから上っていけばいいのに。」と言っていました。
娘には、メアリ・アンがスチーム・ショベルとして元気に穴を掘る姿が1番輝いて見え、これからもずっと見続けたいと思ったのですね。まだまだ成長盛りの子どもには、「第二の人生」は想像がつかないかな?