アンパンマンで有名なやなせたかしさんですが、
私にとっては、中学生の頃よく読んでいた、ファンタジー童話作家としての印象が強いのです。
アニメっぽい絵はあまり好みではないのですが、そのストーリーのヒューマニティに惹かれます。
この作品も、さながら『やさしいライオン』の親子愛が描かれます。
たぬきのハルはある日森で男の子の赤ちゃんを拾います。
不憫に思ったハルは人間のお母さんに化けてその子を育てます。
パルと名づけられた男の子は、ハルが得意な草笛を教えてもらい、
上達するのですが、それを聞いた旅人が音楽家にしようと引き取ります。
森に響く草笛、成長したパルが吹くフルート。
それらの音色が聞こえてくるようです。
たぬきであっても、パルに一心の愛情を注ぐハルの姿に心打たれますね。
もちろん、立派になったパルのお母さんに対する愛情も伝わってきます。
やはり、やなせさんのヒューマニティは健在で、嬉しかったです。