絵が、写真のようで、映画のようで、とても説得力があって見る人を圧倒する迫力がある絵本です。
おばあさんが、リリーに昔は海にくじらがいっぱいいて歌をきいたことがあると話してくれます。
物語はリリーの夢の世界を拡げて行きます。絵本はリリーのイマジネーションでいっぱいです。
おじさんが、くじらは肉や骨や脂をとるための動物だと、現実に戻します。
動物愛護団体を挑発するような話。おじさんの絵の中での描かれ方がすごい。後姿だったり、部屋を出て行く足だけが描かれていたり。
この絵本の絵は、描かれている絵から描かれていない部分までを見るものに訴えます。
さらに、読み終わってから奥さんは面白いことを言いました。
この子の両親はどうしたんだろう。おばあさんとおじさんのフレデリックの関係は?
考えると、さまざまなストーリーが考えられて、考えると考えるほど、リリーの鯨に対する愛着が際立ってきます。
不思議な絵本です。
思春期の子どもに良い本かも知れません。