誰もが知っている忠犬ハチ公のお話ですが、こうしてじっくり読んだのは、初めてだったかもしれません。
ハチの健気さ、一途さ、忠実さが、どのページからも伝わってきて、
最後は涙なしには読めませんでした。
いもとさんの描く愛らしい表情のハチとは対照的に、物語はあまりにも悲しく、「フランダースの犬」を思い出しますが、大好きな人を待ち続けたハチの一生は、私たちが思うよりもずっとしあわせなものだったのかもしれないな、という気もしました。
人を愛することも、人から愛されることも知らずに、生涯を終えていく
人が増えている現代で、たとえ短い時間でも、一生分の愛情を受け、人を愛し続けることができたハチは、少なくとも、生みの親に虐待されて、幼い命を落としていった子どもたちよりも、はるかに、はるかに、しあわせだったはず、とそんな気持ちになりました。
心優しく、悲しみに対してとても敏感な娘は、「悲しいお話だった・・・」と言ったきり、何も話してはくれませんでしたが、
いつか、悲しさよりも、愛することの素晴らしさをわかってくれる日が来たらいいな、と願っています。