【あらすじ】
つるばら村で養蜂をしているナオシさんの物語、12話。村で一番高い笛吹山でひとりで蜂を飼っているナオシさんのもとには、いろいろなお客さんが訪れます。時には人間ではない方も交じっていまして…自然一杯の美しい景色と、不思議な世界が入り混じる上質のファンタジー。
【感想】
男っぽい話もあり(天狗と腕相撲するとか、イノシシと綱引きするとか)、淡い恋の予感もあり、奇想天外なファンタジーもあり、盛りだくさんの一冊。養蜂家のことをよく調べてあって、丁寧に物語が作られている。どのお話も読み終わるとこころが温かくなり、不思議な満足感が訪れます。寝る前に1話ずつ読んでもいいかもしれないですね。
後書きも素敵。(この作家さんは、後書きも感動的)
ご縁があって、養蜂家の方から直接いろんなことを教えてもらうことになったいきさつは、奇跡のように感じられます。この人は、上質な物語を書くために、神様が守ってくださっているとしか思えないような素敵な「出会い」をされている気がしてなりません。
蜂が一生かかって集める蜜の量は、ティースプーンに半分ほどという。それを考えると、蜂蜜を、はたして食べていいのか?迷いが生じました。結局、自然からいろいろなものを頂かなければ、人間は生き残れないのだなあ、と思います。
食べるものも、着るものも、そのほかなんでも、自然から頂いた材料で作られているから、それらを大事に扱おうという気になります。
そして、この本は、ほかのシリーズとゆるやかにつながっています。登場人物があっちこっちで関係しているので、村を探検するつもりで、全部の作品を読んでみたいと思います。