すっごくいい本でした。
出版社からの表示によると、小学校高学年向けの児童書のようです。
主人公のユリカが、ちょっと気になる男の子高木君の薦めで、
俳句を始めます。
最近、同居を始めたユリカのおじいちゃんも俳句をやっていて、
ユリカはおじいちゃんととってもいいじじ孫の関係になっていくんですよ。所がいろいろと問題が起きてきて…。
最後におじいちゃんにユリカが耳打ちする
『おじいちゃん 負けるな ユリカ ここにあり』は、小林一茶の名句をユリカがとっさに真似したものですが、物語をここまで読むと、どんな気持ちでユリカがこういったのか、おじいちゃんがこう言われたことで、どんなに救われただろう。と、不覚にも涙が出てしまいました。
個人的な好みの問題かもしれないけれど、この作品はたくさんの人に読んでほしい。
出来たら、子どもたちだけでなく、子育て中のお父さん、お母さんに読んでほしい。と、思います。
というのも、この物語は一見「俳句」という地味に聞こえるテーマで、おじいちゃん・おばあちゃんと孫たちのつながりを描きつつ、
現状の子どもたちの生き場(生き方)を見つめていくという描き方をしている上、
年老いた親と子育て世代の息子のあり方も様々と見せつけられました。
子育て世代の私たちは、とかく子どもたちのことばかりに頭がいってしまいますが、
私たちを育ててくれた親の生き方を、この作品を読んでもう一度考え直さなくては!と、己の反省してしまいました。
最近はいろいろなところで、読書に対する低年齢化が言われています。
本来、小学生向けの童話で、少し昔なら小学校に入ると誰も競ってが読んでいた名作童話(例えば「エルマーとりゅう」「長靴下のピッピ」とか…)今は高学年になっても手に取ってくれなくなってきています。
実際今の小学生の子が、本屋や図書館でこの本を見かけて、手に取るか?と聞かれたら、何の情報もない状態でしたら、まず取ってくれない気がします。
なので、この本をブックトークして、子どもたちに宣伝したいなと、思いました。紹介するなら、小学校の高学年から中学生くらいにいいかな?と思います。
そして、出版社の方にお願いです。
こんな素敵な児童書がこのまま埋もれていかないように、
ちょっと汚いやり方ですが、今どきの子どもたちが手に取ってくれるようなヤング向けの表紙に変えるなどして、
ぜひぜひ宣伝出版し続けてください!