2歳7ヶ月の息子に読んでやりました。電車が大好きでいつも外側のことを題材にしたものばかりですが、電車に乗っている様子をそのまま切り取った、ほのぼのストーリーです。説明文が「がたたん」という電車の音だけ、それも数ページなので、読み手が一生懸命絵を見ながら想像してストーリーを作っていくタイプ。でも、とても簡単な展開なので、おもしろく作れます。
すごいなーと思ったのは、知らない仲だった乗り合わせた乗客たちがいろいろな出来事を通して、少しずつその共通の時間を過ごした仲間になっていく様子を、色彩であらわされているのです。白黒からカラーへ。それがいやらしくなく、なんだか心の氷が解けていくようなそんなイメージです。とてもステキです。
そして、歳もばらばらな人たちが、たわいもないことでお互いの気持ちが寄り添えるんだなーと思うと、まんざら電車も悪くないなーと思えます。地獄のような満員電車や自分だけの世界に入った人たちに囲まれているからこそ、こういう心のふれあいを求めたくなるのかもしれませんね。そういえば、息子はよく年配のおばさんに声をかけてもらえますが、そうやって声をかけてもらった瞬間、白黒からカラーに変わっていく気持ちになります。
とても微笑ましい、心あたたまる本です。