人間の庭に間借りするバーバパパ一家。
9人もの大家族には狭くなった家を離れ、新しい自分たちの家を求めて住居を転々とする、というシンプルな物語です。
図書館でパラパラと中を読み、他のバーバパパシリーズの本よりもこどもたちの個性が豊かに、かつシンプルに描かれているように感じたので借りました。
以来一か月、ほぼ毎日のペースで読んで、とせがまれます。
どちらかというと集中力の長続きするタイプの子ではないのですが、この本に限っては、一回読むのにたっぷり15分かかることもあります。
ページをめくろうとする母の手を止めて、さまざまな「発見」や「ここが好き!ポイント」を母に教えてくれるのです。
曰く、
バーバリブ(橙)は、みんなが家の大掃除をしているときに一人だけ本を読んでる!ダメー!
バーバベル(紫)は心細いときに指しゃぶりをして寝ている。自分(娘)とオンナジネ。
バーバモジャ(黒毛玉)はシャンプーする時、自分(娘)みたいにシャンプーハットを使わないんだね。オニイサンネ。
こんな調子で、まだ言葉もおぼつかない娘が指さしつつ延々と楽しそうに教えてくれます。
バーバパパのシリーズはざっと目を通した限りですが、
ともすると60年代のヒッピー的な自然礼賛や文明批判が鼻につく所があります。
この本にも、ブルドーザーなどの建設重機を単純な悪役として描くなど、私自身の感覚としては首をかしげてしまう描写もありますが、
小さな子供の成長過程にはシンプルな勧善懲悪も必要なんだろうなあ、とそこは割り切って読むことにしています。
お話の骨子もしっかりしていて、細部の描写や感情表現も驚くほど丁寧です。
とてもおすすめしたい絵本です。