「すてきな三人組」で知られるトミー・ウンゲラーの作品。
初版は1980年で、邦訳は20110年となっています。
ウンゲラーと言えば、「オットー戦火をくぐったテディベア」「あおいくも」のように戦争を題材に考えさせられるもの、「エミールくんがんばる」「へびのヘクター」のようにほのぼのさせてくれるものと色々な側面があります。
今回の作品は、後者。
主人公のアデレードは、生まれたときから羽根があるカンガルーという設定です。
そのアデレードが、両親の元を離れパリに辿り付き、最後は、結婚して子供が生まれるまでを描いたものです。
物語としては、あまりにも淡々としていて、深みが感じられません。
起承転結の要素が沢山盛り込まれているのですが、メリハリが少ないせいなのでしょう。
羽根があるカンガルーという設定の妙に助けられていると思えました。
ウンゲラーらしさを期待する向きには、物足りないかも知れません。
絵は、二色刷りというとてもシンプルなものですが、このストーリーには合っていて、読み聞かせし易い絵本です。