黒い羽の集団が話している様子は異様な雰囲気…。
こども向きの絵本とは思えない鋭い目つきの仲間たち。
表紙が目に入ったときからすでに、からす達の会話を盗み聞きしているような気持ちになりました。
日々の中によくある、ちょっとした自慢や優越感をもった言葉のやりとりのなかに潜む残酷さを、子供は意識するかもしれません。
思いつきのひとことが、相手の気持ちを動かしてしまう残酷さがせつなく、でもそこで自分にできることを必死でやろうというちびがらすの懸命さに、心から応援の気持ちを送ってしまいました。
うまく動かない羽を必死にはばたかせるちびがらすは、自分探しの終わらない大人の気持でもあったように思います。
背表紙を閉じた後、久々に物語の余韻を感じました。