パン屋で見習いをしているアノダッテは、ある夜、一人、パンを作る地下室へ降りていきます。まちのひとみんながいっぱい食べられるように粉をはかって、チョコやジャムを練りこみます。
好きなものを好きなだけ詰め込みたい、手に負えないような大きなパンを一度は焼いてみたい、という欲望をかなえてくれる展開に、子どもだけでなくきっと読み聞かせをしている大人もわくわくするはず。
ところが、大きすぎたパンは焼いている途中でかまどから溢れ出してどんどん膨れていきます。最終的には、見開きを縦に使って、地下から屋根裏部屋まで膨れ上がったパンが描かれています。
全体的にセピア色っぽい色味を抑えた、やわらかい絵のタッチ。
思いやりと夢が詰まったストーリーで、大好きなパンの絵本です。