ピーター・シスさんの自伝的絵本。シスさんは、1945年から始まった冷戦の頃に東側陣営のチェコスロバキアで生まれました。その後、どのような環境の中で育ってきたか、生きてきたかが描かれています。
自由や人権がいかに貴いか、そして、どれほど容易く それらが踏みにじられていくかがわかります。そして、為政者がどんなに自由を禁じても、人々はそれを求め、やがては手にしたことも描かれています。自由の息吹が入り込んでくると、世界は色づきます。色づいたり、でもまた、黒と赤の世界になったり・・・。いろんなことが繰り返されて、今があります。
そう、壁は壊れました。壁はいりません。いつまでも自由と人権が守られる世の中でありますように。描きたいものが描ける世の中でありますように!
ご自分が経験してきたことを、画家である自分ならではの方法で伝えようとした、力作の絵本だと思います。