パパやママは、ローラを見て「大きくなったな」とか「もうちょっとで学校ね」とか言う。でも、妹はそうは思っていないのです。そして言うのです。
「あたしは、まだ”おおきく”なんかなってない。それに、学校に行ってる時間がない。家ですることがたくさんあって忙しいから。」と。
そこで、お兄ちゃんが言うんですね。「学校へ行けば、数を習って100まで数えられるようになるんだよ。」と。
それに対して妹は「私は10まで数えられれば充分。」
「学校では、字も習う。文字が書けるようになれば、好きな友達に手紙が出せる。」とお兄ちゃんが言えば、
「あたしは、電話のほうが好き。」と言う。
「あたらしい言葉もいろいろ知りたいだろ?いろいろ知れば、一人で本が読めるし、メモなんかも読める。」
といえば「新しい言葉なんて知らなくてもいいの。好きな本のことは、頭の中にぜんぶ入っているから。」と言う。
ああ言えばこう言い返す、兄妹のやりとりが絶妙です。
そうういいながらも、妹が学校に行く日がやってきて、学校生活が始まるんですね。
そして、そんな妹が、お兄ちゃんは、1日じゅう心配でたまらない。
でも、家に帰ってみると、妹は、もうすでに学校でできた新しい友達を招いており、言うのです。
「あたしは、最初っからばっちりだいじょう!」と。
幼稚園も学校もそうだけれど、子供にとっては、すべてが新しいことだらけ。わからないことだらけ。いっぱい不安があるんだろうな。
でも、ローラみたいに、慣れてしまえばぜんぜんへっちゃらなのです。
小学校にあがる頃、読んであげたい。大丈夫だよ、の言葉のかわりに。