夏休み、とうちゃんが海に連れて行ってくれると約束した。
ぼくと弟は、楽しみにしていた。
ぼくは、もう絵日記だって描いちゃったんだ。
『きょう、うみへいきました。すなはまでボールあそびをしました。こうらぼしもしました。おおきなパラソルのしたでおべんとうをたべました。うみはいいなあ!』
それなのに、とうちゃんは夕べ徹夜の仕事が入ってしまい、海へは行けなくなった。
おまけに、徹夜明けで帰ってくるとうちゃんが休めるようにと、かあちゃんに弟付きで家から出されてしまったのだ。
「くそー! どろぼー! にんげんのくずー!」
暑い校庭で、やりきれない思いをボールにぶつける、ぼく。
すると、寝ていたはずの、徹夜明けのとうちゃんがやってきて、
「こんにゃろー!とうちゃんだって、海に行きたかったんだぞー!」
と、一緒にボールを蹴りあった。
そして、かあちゃんがお弁当を持ってきて・・・
時間とお金をかけて旅行するのも、とても楽しい。
でも、少しの時間でも、家族で一緒に過ごすのが本当に楽しいのだ。
裏表紙に、書き直された絵日記が、微笑ましい。
とうちゃんもかあちゃんも、体当たりでしっかり子供を育てている。
モノより想い出。
この家族、いいなあ!