行きつけの書店は、都会の雑踏の中にあります。いつも大勢の人が、本の山に埋もれた宝を、じっと探しています。私もそんな中のひとりです。ただ他のおとなとちがうのは、絵本コーナーにこもることでしょうか。
この本の表紙絵は、飛び抜けていました。「私を手にとれ」と言うのでした。はたこうしろうは、娘のお気に入り作家。何よりも、こどもの頃の思い出が、夏の絵日記の向こう側に、とつぜん開かれた思いがしました。絵の中にすいこまれて、いい気分でした。ちょうど近くの公園で、初めてカワセミをこどもと目撃した興奮もよぎって、そのまま買い求めました。都会の中で見つけた、こどもの頃の私のゆめ。
はたこうしろうさん、ありがとう。