ほりかわりまこさんの「今昔物語絵本」シリーズ第3弾。
権大納言のキャラクターは相変わらず、凝りもせずに失敗を繰り返します。
それでも憎めないのは、権大納言がきわめてふつうの人間だからでしょうか。
欲深な権大納言にしては、このシリーズで一番おとなし目のお話になっています。
あやうくあの世に行ってしまいそうになった権大納言ですが、物語にはおどろおどろしさはなく、陰陽師の屋敷の外の異次元世界が謎かけ風に展開されています。
前に助けた小鹿に救われるというエピソードは、権大納言が決して欲ばりなだけの人間ではないことの証でした。
今昔物語の様々なお話から素材を集めて組み立てた、ほりかわさんのオリジナルとのことですが、権大納言のキャラクター設定を踏み外さない物語展開には、苦労が多いと思います。
ただ、今回のお話はちょっと当たり前すぎて、物足りなさを感じてしまいました。