オールスバーグの作品は、まず絵があまりにも精巧なので、白黒の実写を見ているような気分になります。けれど、色がないからなのか、どことなく異世界の雰囲気が漂い、不思議の世界に引き込まれていくような錯覚に陥ります。
お話は割と盛り上がりが単調で、クライマックスが来る前に終わってしまう様な気がして、ちょっと物足りないのですが、実はその先が凄いのです。
この作者の『ジュマンジ』や『まさ夢いちじく』などにも見られるのですが、物凄く余韻が残るのです。それも、なんだか落ち着かない、底知れぬ恐怖がひたひたと近づいているような余韻が。
その余韻とこの絵が混ざり合って、独特の世界が築かれています。
子どもは「よくわからない」「不思議な感じがする」「怖い」といろいろ評価が分かれそうですが、大人にはこの余韻がたまらなくいいという人も出てきそうな作品です。