絵本ナビで紹介されていて面白そうだったので、息子に良いかと思い図書館から借りてきました。
最初、読み始めた時は、なんだか『ビロードのうさぎ』と『くまのコールテンくん』と『ぼくをさがしに』を合わせたような話だなぁと思いましたが、いやいや、実に、アリの隊長の言葉が奥深かったです。
アリの隊長は、探し物が何か分からず思わず教えてくれと頼んだかいじゅうにこう言います。
「何をさがしてるかだって? くだらん! じつにくだらないしつもんだ。
そんなことを考えて、ねころがっとるひまがあったら、さっさと、さがせ!
今すぐ、何かをさがしに出かけるのだ! 歩き回り、さがし回っていれば、
やがてかならず何かがみつかる。それがチョコレートのカケラなのか、
とかげのしっぽなのか、そんなことは、みつけてみなければわからん。
一つだけたしかなことは、じっとしとっても何もみつからんということだ。」
なんか小さな子供だけではなく、思春期や青年になりかけた何かを追及している人の心にとても響く言葉ですよね。私も昔、こういう言葉を信じて進んでいたことがあったなぁと、なんか懐かしさと青ずっぱい気恥ずかしさを感じる言葉でした。
そして、その後にカラスにも同じ質問をするかいじゅう。帰って来る答えは、おいしいものに決まっている!と.... アリの隊長の崇高な言葉の次に、人間臭い(実際はカラスなのですが)現実的な言葉を用意しているところが、とてもよくできたストーリーだなぁと感心してしまいました。
結局、かいじゅうが探していた物はなんだったんでしょう?! そのこたえは、それぞれの読者に任されていますが、いくつかありますよね。
当の息子本人は、ファンタジーの世界をそろそろ離れ始める年齢だからでしょうか? とても現実的なコメントでした。息子曰く、「いや〜、このかいじゅうには終わりはないんだよ。また、いつかは冷蔵庫を空にして、旅に出るんだよ。男の子が大きくなったらね。」と... 息子よ! 現実的すぎるぞ! お母さんは、君にはこの話のかいじゅうのように探し物をするようなガッツある人生を歩んで欲しいぞ。