枝から離れたかえでの葉っぱが、風に乗って旅に出ます。
作者はチェコのデイジー・ムラースコヴァーさん。
この文章が発表されたのは1975年、当時はまだチェコスロヴァキアだった時代で、それから長い年月を経て、美しい挿絵と共に出会えたことに感謝します。
1枚のかえでの旅のお話ですが、読んでいるうちに、これはまるで人生の旅と同じだと感じました。
若いうちは美しく、出来るだけ遠くまで旅がしたい。
人生の春夏秋冬を経験し、最後に燃え尽きたかえでの葉っぱ。
このかえでのように、満ち足りた人生を送りたいと思いました。
この素敵なお話に、美しい挿絵を添えてくれた出久根育さん。
異国情緒あふれる雰囲気はどことなく寂しさも漂いますが、秋色のオレンジの葉っぱの色はとても温かく感じました。
1ページ1ページとても丁寧に描かれていて、この美しいチェコの風景をいつまでも見ていたいと思いました。
チェコやスロヴァキアには素敵な作家さんが多いですね。それだけ魅力のある美しい国なのだろうと思います。いつの日にか訪れたくなりました。
秋色の、秋に読むのにピッタリの美しい絵本です。