昭和32年(1957年)、月刊誌「少女クラブ」に掲載された作品。
学校帰りの小学生の女子2人が、公園で腹話術のおじさんを見つける。人形を見せてくれるというおじさんについて行ったルミちゃんは、屋敷で体の半分が人形になっているルミ子というお姉さんに出会い、自分も人形にされてしまう恐怖を味わうが…
少年探偵団、誘拐犯、生きている人形、不思議な地下世界…ミステリーとホラーのおいしいところをてんこ盛りにした、スピード感あふれる作品。どんどん妙な方向に展開していく話に引き付けられ、一気に読み切ってしまった。人形には妙な恐ろしさや妖しさがあり、ミステリーの小道具としてはぴったりだ。
巻末の解説(佐藤宗子:児童文学研究者」が秀逸。面白い理由がよくわかり、ツッコミどころもよくわかる。犯罪を芸術の域まで高めたかったと思われる怪人二十面相の、不思議な心理が、私にはウケるためには何でもやるお笑い芸人のように感じられたりして、妙に悪役に好意的になってしまった。
読者の皆さん、知らない人にむやみについて行ってはいけませんよ。