絵本というには厚みのある重さのある力作です。
いじめを受けて不登校になった少年が、転校先で再び同じ状況に陥る、呪縛から開放されない辛さを、痛いほどに突いた内容に、現実感を受け止めました。
少年は漁村留学という逃げ場にしがみつきました。
そして、少年を仲間として受け止めたそこでの生活が、煌めいています。
少年は逃げてきた場所への恐怖を、薄皮をはがすように鎮めていきます。
いじめを克服することは、簡単ではないでしょう。
でも、真っ向に対峙するのではなく、逃げても良いんだということを教えられた気がします。
自分に合った場所で心を強くする。
居続ける訳にいかない場所だから、いずれ戻っていかなければなりません。
その時、荒波の上を羽ばたけることを祈ります。
親の立場で読んできたら、大人が考えなければならない課題も見えています。