『みるなのへや』の昔話を取り上げたので、同じ再話も読んでみようとセレクト。
貧しい若者が鶯の声に誘われて、山道で迷います。
日が暮れて見つけた大きな屋敷に泊めてもらうのですが、
次の日、そこに住むあねさまから留守番を頼まれるのです。
ただし、条件があるのです。
12の蔵のうち、最後の蔵だけは決して見ないように、と。
許可を得た11の蔵には、それぞれ、1月から11月までの情景が幻想的に広がります。
お正月、節分、桃の節句、花見、端午の節句、田植え、七夕、夏祭り、大嵐、刈入れ、秋祭り。
やはり、禁断の12の蔵も開けてしまう若者。
あねさまの正体がわかります。
重厚な赤羽末吉さんの絵がやはり素晴らしいです。
その絵の世界を大切にした、小沢さんの再話の語り口も研ぎ澄まされています。
日本の行事が織り込まれた物語、やはり、耳で聞いて楽しんでほしいです。