主人公のわたし(りっちゃん)は、今、団地の子供達の中で流行っている
大縄跳びの“おおなみ こなみ”に、内心、とても困っていました。
それは飛べないから。
いつも縄回し役が長くて、たまに飛ぶ番になってもドキドキするばかりで、
結局引っかかってしまい、また縄回し役に。
ある時、歯医者に行って戻ってくると、みんながまた大縄跳びをやっていて、
私は「いれて」とは言えずに、本当の波(海)を見に近くの海岸に行きます。
そこで波を見ていると眠くなり、はっと気づくと、おおなみこなみの歌が聞こえてきて、
見てみると、なんと白うさぎ達が砂浜で大縄跳びをしていました。
その中で、一匹、自分と同じような境遇のうさぎを見つけ、私は....
という話なのですが、読み終わった時にとってもじ〜んとくる、穏やかで、でも、
とても素敵な絵本でした。
一人称(わたし)で書かれているからか、苦手な大縄跳びをやらなけれ
ばならない気持ちや出来なくて悲しい気持ちとかが、とっても伝わって
きて、まるで読み手のこちらまでその場で傍観している錯覚に陥ります。
最初、題名を見た時には、海うさぎってどういう意味かしら?と
思ったのですが、なるほど、読み終わった今では、白い波が打ち寄せて
くるのを見る度に、ふと、この絵本を思い出し、
「おお! うさぎが波に乗ってやって来ている!」という気持ちになります。
ちょっと長めの話ですが、ストーリーがしっかりしているので、
一気に読むこと(読み聞かせること)が出来ます。
読み聞かせるのなら、何度も出てくる「おおなみ こなみ」のところは
歌ってあげると、より臨場感がでてきて楽しめると思います。
実際に縄跳びの飛べない子や、自分だけ何かが出来なくて、密かに落ち込んで
いる子に、元気と勇気と希望(励まし)を与えてくれる絵本です。
とてもお薦めです。是非読んでみて下さい。