表紙の絵から悲しいお話を連想し、、
(実はルリユールおじさんが死んじゃうお話かと思っていました)
読まずにいた絵本でしたが、
幸せの絵本(家族の絆編)で紹介されているのを読み、ついに手にとりました。
物語は、パリに住む少女、ソフィーが壊れた植物図鑑を直そうと
ルリユール(製本職人)を訪ねる「とくべつな一日」の朝からはじまります。
2人が出会うまでのシーンは
見開きの左のページにソフィー、右のページにルリユールおじさんが
それぞれ違った視点から描かれ、ドキュメンタリー映画のよう。
製本作業が始まってからの2人の会話は
あまり噛み合っておらず、微笑ましかったのですが、
あとで、ルリユールおじさんがソフィーの話をちゃんと話を聞いていてくれたことが分かります。
私が一番好きなのは、
ルリユールおじさんの父親の思い出が描かれる、セピア色のシーン。
ルリユールの手仕事を息子に伝える父親の
仕事への誇りを感じる深い言葉と、木のこぶのような手。
そんなかつての父親に、
まさに生き写しの現在のルリユールおじさんの姿。
「わたしも魔法の手をもてただろうか」
静かな感動があふれ、涙腺が決壊しました。
成長したソフィーの後日談に、胸が熱くなるラストもいい。
「修復され、じょうぶに装丁されるたびに
本は、またあたらしいいのちを生きる。」という
ルリユールおじさんの父親の言葉が思い出され、
しばらく暖かな余韻に浸りました。
本当に読んで良かったです。大切な絵本になりました。
息子は、やはり表紙を見て読もうとしませんでしたが
自分で手に取る日まで、本棚にそっと置いておきたいと思います。