物語は、ドイツのハーフェルラントを舞台にした抒情詩。
これに、コルデコット受賞作家のナニー・ホグロギアンが絵を描き1969年にアメリカで出版されたもの。
ドイツ語版は、1971年にドイツ・スイスで発刊されています。
物語は、リベックじいさんが、屋敷の中にある梨の木になる梨を周りの人に配るシーンから始まります。
リベックじいさんが亡くなったときは、周りの人々は大いに悲しみます。
「おじいちゃんが しんじゃった!
なしをくれる やさしい おじいちゃんは、
もう いないのね!」
と子どもが泣いています。
リベックじいさんの遺言は、梨を自分の墓に埋めておいてくれというもの。
これは、けちん坊の息子が、屋敷の梨をみんなに与えなくなるのが分かっているから、自分の墓に梨の木を植えて、みんなに食して欲しいとの想いから。
穏やかな物語で、おじいさんの優しさに触れる作品ですが、息子がどうしてこんな風に育ったのかが、分かりません。
話の展開としては良いのですが、親と子という関係を鑑みると、何故息子がこんな風になったのか、少しでも描写されていると良かった気がします。
版画の絵が、とてもレトロな印象で、この作品のもつ雰囲気にとても合っているので、絵を楽しみながら読み聞かせするに相応しい作品だと思います。