井の中の蛙、大海を知らずという諺があります。
この諺は、日本から世界に伝わったと言われていますが、この絵本のタイトルは、正に
The frog in the well( knows nothing of the great ocean)
その背景からして興味深く、親しみ易い作品だと言えると思います。
アルビン・トゥレッセルトとロジャー・デュボアザンは、
White Snow Bright Snowで、コールデコット賞を受賞しています。
この作品は1958年の初版で、邦訳は1995年。
物語はとても分かり易く、井戸の中にいる蛙は、そこが世界の全てだと思っていて、井戸の外は、世界の果てだと思い込んでいました。
それが、井戸の外に出て、世界はもっと広いということを知り、賢くなって外の世界に飛び込んでいくというもの。
これってある意味、自分の殻に閉じこもってしまって、殻を破ろうとしない姿勢に似ていて、深遠なお話です。
絵は色合いが若干クラッシックな感じではありますが、赤・黄・緑が効果的に使われていて、蛙のキャラクターも魅力的なものだと思います。
良書というに相応しい作品なので、一度は読み聞かせして欲しい作品です。