大道芸人フィリップは、地上400メートルのツインタワーの間にかけた綱を渡ります。
それが実話というだけでも、ちょっと衝撃的ですが、
なんといっても、臨場感たっぷりの絵がすごい迫力です!
特に、パノラマのページは圧巻。
フィリップの足下に広がる、遥か彼方に見える地上の絶景に、
私は足裏がゾワーッと痺れてくるような感覚を覚えました。
フィリップが綱から降りて、ハアーッと大きく息をついた息子は
息を止めていたかもしれません。
最後、ツインタワーが今はないことだけを語られたページで
やはり息子に「なんで?」と聞かれました。
私なりに9.11事件を話し、
ツインタワーが悲しい事件でなくなったこと、
フィリップの与えた感銘は人々の記憶に刻まれていることを
彼なりに受け止めたようです。
内容的には小学校高学年以上から大人向けだと思いますが、
年長の息子が、こんなに集中して読んだ絵本はありませんでした。
命がけの綱の上で「自由」を高らかに謳いあげたフィリップに、
心を揺さぶられる作品です。