1956年生まれのデイヴィッド・ウィーズナー。
彼は、2002年「3びきのぶたたち」2007年「漂流物」でコールデコット賞を、1989年の「フリーフォール」1992年「かようびのよる」2000年「セクター7」でコールデコット賞オナー賞を受賞しています。
この作品は、1990年初版で、原題はHarricane。
大型のハリケーンが来る一夜のシーンから物語は始まります。
停電の中、家族が暖炉の前で食事するのも良い感じですが、兄弟の会話が実に楽しめるもの。
嵐が過ぎ去った後、にれの木が倒れていて、それからの展開がウィーズナーならではものです。
ジャングル探検したり、7つの海を航海したり、宇宙を旅したりと、倒木とともに兄弟の想像力豊かな遊びが展開します。
「ときにはだたそこにすわって、あたりのけしきをながめた。
木はとくべつな場所だった。
ひみつの夢をたっぷりつつめるくらい大きくて、冒険をこっそりわけあえるくらいにちいさな場所」
こんな記載があります。
兄弟にとって倒木は恰好の遊び場だったようですが、子供なら誰しも憧れるものでしょう。
そんな心理を上手く描写した作品です。
ウィーズナーにしては一寸現実的過ぎる感がありますが、充分に楽しめる作品だと思います。
活き活きとした絵は、やはり見応えがあります。