月夜にひとり、危険かもしれない線路沿いを歩く。
そんなちょっとした高揚感の中にいる少年。
その日そこで彼が見たものは、なんとも変な光景!
電信柱たちの行進だった。
幻想的な部分とスリルがバランス良くつまった、
宮沢賢治さんのお話です。
それにさらなる広がりを出す、素晴らしい絵。
電気ビリビリのじいさんのアップ、
電信柱たちがそろい踏みする絵は圧巻!
画面いっぱいの躍動感です。
いろんな方向からの大胆な構図に、
ユーモラスな顔。
どの電信柱たちも海外アニメのように、
ザッザとした足運びで動いているよう。
作品の絵の力がすごいです。
昔の言い回しもあり、
電信柱たちに歌われる軍歌も多い。
子どもには難しいと思えましたが、
読むと6歳と2歳、娘2人とも意外に楽しんでいました。
上の子は見返しの楽譜(賢治さん作だそう)に喜んで、
それからは「どってて、どってて、どっててどーお♪」と。
下の子はこの絵本を開くとき以外にも、
階段をのぼるときなどにも、これを口ずさんでました。
絵本が運んできた、ちょっと可笑しな風景でした。
月夜の下で、魔法がかかったような時間。
汽車の通過とともに、その魔法もスッと消えるような結びに、
幻想的な余韻がずっと残ります。
秋に読むのにピッタリ、
月夜をより素敵にしてくれる絵本です☆