絵本から児童書への転換期に読みました。
我が家の息子は、絵が少なくて文章の長い児童書に抵抗があり、なかなかな児童書を読みたがりません。
この頃読んで気に入った、チャイルド本社の「わんぱくだん」シリーズを連想するような、仲良し4人組がこの作品の主人公。モグラ原っぱという遊び場を中心に、4人組の小学校低学年の日常風景をつづっています。
1968年と古いのですが、今読んでもちっとも古びておらず、返って新鮮な感動さえ覚えました。とにかく4人組や担任の先生、友達たちが、さっぱりと気持ちのいい人物像で描かれています。40年も前の風景ですが、息子にとっては、年の近い年頃の登場人物に、近所にも似たような遊び場があって、自分をお話しの中に投入しやすかったようです。気づくといつの間にか食い入るように活字を追って聞いていました。季節を追うように短いお話しに区切られていますので、児童書でも、毎日の読み聞かせに重宝すると思います。
古田足日さんのあとがきには、“だれかがやった事実がつねに投影されています”とあります。すべてがフィクションという訳ではなく、昭和40年頃の東京近辺のどこかであった出来事を基にしているそうで、現実味がわくお話しばかりなんですね。
幸い我が家の周りにも森や原っぱがまだ残っています。目をらんらんとして聞き入っている息子が、春からの小学校生活をこんな風に過ごせたなら、きっと少年時代はすごく濃いものになるなぁと思いながら、あと残りのページを惜しみながら、毎日すこしづつ読み聞かせしています。