スズキコージさんが描く、
豪快に渦巻く大鍋のスープが想像を膨らませてくれます。
題名こそ喉がイガイガしそうで、どきりとしますが、
スウェーデン民話が題材の絵本。
飄飄とした男と
彼に騙されて振るまってしまうおばあさんのお話です。
コラージュなどもつかわれた、
スズキさんの独特な絵による世界は、このお話にすごく合いますね!
なかでも大鍋のインパクトは凄くて、
くつくつことこと、湯気や泡から温度が伝わってきそうです。
スープにはどんどん具材が追加されていくのに、
くぎだけでの味付けを信じて、付き添うおばあさん。
おばあさんは、きょうみしんしん。
そう言われて、読む側もその行方がとても気になります!
実在すれば、くぎのスープ詐欺とでも命名されそうな話ですが。
スズキさんの迫力の絵を通して、
魔法のスープ完成を一緒に見守り、立ち会うような気がします。
しかもすごい美味しいとは!
ケチさを忘れて、出来るまでワクワクしたり、最高の晩餐をするおばあさんと、
その後のおばあさん、まんまと褒美を得た男など、
どの感情に寄り添うかで、読後感は大きく変わります。
その描かれかた、世界観が面白く、
個人的にはやっぱりスープが主役の絵本です。