「ノアの箱舟」は、沢山の絵本が出版されています。
一番印象に残っているのは、今年2月に邦訳されたリスベート・ツヴェルガーの描いた「ノアの箱舟」。
リスベート・ツヴェンガーは、グリム、アンデルセン等の世界的名作を、繊細で独特の画風で描き、国際的に評価を得ており、思う存分に彼女の描く絵の魅力が溢れているものでした。
今回のピーター・スピアーによる「ノアのはこ船」は、1978年にコールデコット賞を受賞しました。
ピーター・スピアは、1962年にも「きつねのとうさんごちそうとった」で、コールデコット賞オナー賞を受賞しています。
この作品の特徴は、文章が殆どないこと。
最初と最後に1行の文と、大洪水の詩の転用があるだけです。
後は、絵が物語るという作品なので、ノアの箱舟の文章を一度は読んだことがないと、理解が難しいかも知れません。
何せ、絵だけですから、解説を入れつつの読み聞かせが必須の作品です。
それでも、ピーター・スピアの絵は、魅力に満ち溢れたもの。
船には、選ばれし者しか乗船できなかったのですが、船の入り口が閉ざされ、船外にいた多数の動物が洪水の中に消え去るシーンは、その象徴的な絵です。
だんだんと船内が汚れていくシーンや、ノアが思い悩むシーンなんて、実に忠実な絵だと思います。
また、甲板から大量の水が溢れさせながら、大海原を漂う船の絵は、何度見ても心に響くものではないでしょうか?
文章はいらないと言える位、絵が物語る作品です。
ノアの箱舟の絵本は多かれど、一度は読んで欲しい作品としてオススメします。