わたしの住んでいる市では、記念樹として、蜜柑、ブルーベリー、柿の中から好きなものをくれます。
柿は既に実家にあるし、ブルーベリーはちょっと樹として物足りないのでは、と思って蜜柑の木をもらいました。アパートでは、植えられないからと実家に持っていく予定でした。
それが・・・なぜかまだアパートのベランダに。
一旦は葉が全部落ちてしまって、枯れてしまったかと思って慌てたけれど、どうやらまた若葉が芽吹いてきました。
結構生命力が強いのが感動的です。
木、というと「おおきなきがほしい」の絵本を思い浮かべます。
「おおきなきがほしい」(さとうさとる)
自分が子供の時にも読んで、今読んでも楽しい絵本のロングセラー。
話は、単純で、主人公のかおるが、「こんなきがあったらいいのになぁ」とただひたすら空想を広げていくだけ。でも、それが読んでいる人間にとても楽しい。
木にはしごをかけて登っていくと、そこには秘密基地のような自分だけの小屋が。小屋の中ではホットケーキだって焼くことができます。お客さんは、せみやとんぼ、りすや小鳥。妹だって入れてやってもいい。
かおるは自分の空想をお母さんに聞かせ、お母さんはそれを微笑ましく聞いているけれど、妹が大きくなって、妹にも聞かせるようになったら、また面白いかもしれない。空想の中のことなのに、その内容で喧嘩が始まったり。
そんな場面が眼に浮かぶようです。
ラストは、そんな夢を実現すべく実際に木を植えて水やりをしている場面で終わります。お話としての体裁からはあった方がいいけれど、なくても構わない。なんといっても、圧巻は、こんなきがほしいという空想の中身に魅力があるので。
この絵本を読むと、空想の持つ豊かさとその力に感動させられてしまいます。自分の夢を描けるってこんなにも素晴らしい。
「ふしぎなきいろいながぐつ」もそうだけれど、佐藤さとるさんという作家は、日常生活のちょっとした不思議をすくいあげて作品に仕立てるのが、とても上手な人なんだと思います。
そして、この本は、読んだだけでは終わらない楽しみがあるのです。
読み聞かせをした後、自分だったらこんなきがほしい、と絵にする楽しみがあるのです。ひとりで描くのもいいし、誰かと一緒に描くのもいい。それこそ、強制されないでも喜んで自分だけの木を描いてくれることと思います。
私自身は、絵を描きこそしませんでしたが、絵本の木の絵を全部カラーコピーして、縦に繋ぎ合わせてみました。繋げると壮観でなかなか楽しめました。
いつか、自分の子供のために、将来木登りができるような大きな木を植えてあげて、この本を読み聞かせてあげるのが今から楽しみです。
でも、その楽しさが分かるのもまだまだ先のことだなぁ。
取り敢えず、ミカンの木が枯れないうちに実家に植え替えるのが先決でしょうか。