電灯さんの経る時間は人の一生のようで哀しい静けさがページをめくるたびに深まっていくようだった。
電灯さんのたった一つの願い事。
それは誰しも心の中に必ずある思い。
人の一生の中で輝く時間は夢を持ちその夢が叶う時だけとは限らない。普段の日常の中で輝くかけがえのない時間がある。自分にしかできないこと。
少年に遠くの星よりも近くの自分(電灯)の方が輝いていると言われ願いが叶った。
「ママ、いつもおいしいごはんありがとう」と息子に言われる時の嬉しさに似ていると思った。
7才の息子に本を読む前に「K君の願い事を一つ言うとしたら何かな?」と聞いてみた。「今ほしいおもちゃを誕生日にもらうこと」という答えが返ってきた。息子がこれから成長したくさんの壁にぶつかり乗り越えていかなくてはいけなくなる中でお金では買えないものの大切さに気付き、電灯さんのような思いを抱いたときに、少しでも思い出し心の灯火となればと祈る気持ちをこめて丁寧に読んだ。読み終わって「電灯さんよかったね」という息子の笑顔が嬉しかった。