うさこちゃんシリーズはとても有名な作品ですが、自分の幼い頃にも、息子が8歳になる今まで、不思議と縁がなかった作品でした。ある時、五味太郎さんの「絵本をよんでみる」という著書(自身に影響を与えた作品たちをトコトン読み込んで解読するという本)を読んだところ、一番初めに取り上げられていて、五味太郎さんの受けた影響力と、作品への思い入れの大きさを感じたのと、分析の切り口が面白くて、すかさず「見たい!」と思いました。
ディック・ブルーナさんの作品は、意識せずとも日常生活の中で接していることと思いますが、改めて解説などを聞いて観てみると、究極に無駄な線を排して完成された画ということや、極端に少ない色使いの1色1色には感情が込められていると聞いて、ますます感心してしまいます。絵本として類をみないビビットな配色は、現代でのインパクトもさることながら、1964年初版当時はどれほどだったことでしょう。
そんな分析はさておいても、8歳の息子と一緒に初めてのうさこちゃんに触れると、意外なうさこちゃんの大人びた言い回しや、おとうさんの古めかしい言葉づかいなど、石井桃子さんの訳が心に引っかかるというか、可笑しくて、ツッコミながら楽しく読めました。
小さい子供となら、(初期の頃の多くは)うさこちゃんが決まって眠くなったところで終わるという形に安心感があって、寝る前の読み聞かせにいいのかなとも思います。
ちなみに、同じキャラクターなのになぜ“うさこちゃん”や“ミッフィー”など違う名前で呼ばれるのか、調べてみると面白い事実がわかってきて、ますますうさこちゃんシリーズにハマりそうです。