毎年同じ浜にキャンプに来て、毎年見かけるペリカン。
絵の透明感とさざ波のような話に、「おもいでの夏」が拡がります。
夏にしか出会わないペリカンとターちゃんの友情。
不思議だけどとても爽やかです。
成長していくターちゃんと老いていくペリカン。
とても含みがあります。
潮が満ちて引いていく間、古い船着き場跡のくいに座りターちゃんは何を思い、何を考えたのでしょうか?
その間に、ペリカンは捕まえたさかなを逃がしてしまって、どこかへ行ってしまいました。
ターちゃんが浜に脱いだ長靴は、満ちてきた波にさらわれて、片方は釣りざおで釣り上げたけれど、もう一方は流されてしまいました。
絵本に表現される以上に長い時間がターちゃんの中にあります。
そして…、長靴を持ってきてくれたペリカンでした。
お話を読み終わって本を閉じると、裏表紙にキャンピングカーのそばを歩いているペリカンの姿。
私は凝縮された昔に夏の思い出を感じました。
成長していく子どもたちにはどう映るのでしょうか。
子どもたちにとって、私はペリカン。