なかよしの小鳥を失った熊の悲しみから、お話は始まります。
花を敷き詰めた箱に亡骸を入れて、肌身離さず持ち歩く熊。
そんな熊に、他の動物たちは憐れみを感じつつも戸惑い、熊の方もかけられた励ましの言葉に対して心を閉ざしてしまう・・・。
その様は
「愛する者を失った悲しみは 本人にしかわからない」という真理を表している気がします。
周りがどんなに心配し励ましても、自分で乗り越えなければならない悲しみ。
多分同じように悲しみを経験しているやまねこと出合い、理解してもらう事で 初めて「小鳥の死」と向き合えたのでしょう。
この絵本は「死」が大きな題材になっています。
ですがそれに限らず、心に負った傷を癒せるのは、励ましよりも共感し理解してくれる言葉です。
やまねこのタンバリンは誰の持ち物だったのか...?
熊がそれを聞かなかったのも、とても印象的で切なくも優しい場面です。
子どもが大人と同じように 感じ取ってくれるとは限りませんが、悲しくてやりきれないようなラストではないので、機会があればぜひ 幼児からでも読んで欲しい一冊です。