タイトルと表紙を見て、おや?っと思いました。
“子ぎつねヘレン”といえば、『子ぎつねヘレンがのこしたもの』の竹田津 実さんの作品ではないのか?と。
巻末を見て、映画『子ぎつねヘレン』の脚本を担当した方が、この絵本の作者 いまいまさこ さんだと解って、納得でした。
この絵本は、映画の『子ぎつねヘレン』に沿って、描かれた絵本です。映画を観た方なら、その記憶がよみがえり、再び、涙されると思います。
ヘレンが亡くなった1年後。
どんな命も この世界に生きたしるしに おくりものを のこしていく
ぼくは それを みつけよう
扉絵の前から、お話が始まる形で、映画のような演出がここにも見えます。
主人公のぼくは、ヘレンと出会った所から回想し、おくりものを一つずつ見つけていきます。
頼りない命が、人間の少年をそして家族を変え、気づかせてくれた大きな存在であったことを伝えています。
私は、“ぼくの生きている世界にも、つかまえておきたい瞬間がたくさんある”という、2つ目で、もうウルウルでした。
最後の10個目で、ダメでした。
出会いは、儚く通り過ぎて行くことが多いものですが、このように人生のどこかで、立ち止まり心に抱いて歩んでいける『出会い』は、その人の“大切な宝もの”になるのでしょうね。
10歳の息子は、「忘れられないだろうね、ヘレンのこと」って、ティッシュを一枚引っ張って、隣の部屋へ。
こどもたちだけではなく、私たち大人にも様々なメッセージを伝えてくれる一冊です。