弟が園で購入予約していた絵本を家に持って帰ってきたその日、中学生の私は弟に読んであげようと手にし、ぐりとぐらとうみぼうずの泳ぎの練習にすっかり魅せられていました。今思うと、中学に入学してから張り詰めた気持ちがあったのか、海の中のぐりとぐらの姿とうみぼうずのダイナミックな画面いっぱいの泳ぐ姿に、一緒にもぐり一緒に息つぎをし、泳いでいた時間。中学生で絵本なんてという周りの目をきにしない家での時間、どこか忙しい中学になってからの自分がゆっくりと深呼吸できた。自分と今を立ち止まって見れた。あの時間はきっと私には必要だったのだと思います。あのとき私はぐりとぐらに出会えてそうっと支えられていたのですね。読み終わる最後の場面、夜の海を眺める砂浜のぐりとぐら。うみぼうずと出会うシーンが見たくてまた最初から開いてしまうのです。小学校の図書室や市立図書館では幼年童話から読書時間を得ていましたが、読み聞かせで絵本を楽しむ甥や姪と一緒に過ごす私が中学の時にこの絵本時間があったことを思い出したのは50周年を迎えたぐりとぐらのおかげ。いまこれからも、出会える方の(ワールドワイドですものね!)ぐりとぐらに思いを馳せています。