後藤竜二さんの凄いところは、子どもたちの様々な年齢層とその心、行動を描き分ける事だと思う。
そのうえ大人世界の切り口で、鋭い絵本も書いている。
私が後藤さんの目を通して見た子どもたちは、幼稚園の園児や小学校低学年の疾風怒濤の時期が多かったのだが、12歳をタイトルとして小学校最高学年を設定した小説に子どもたちの成長過程を見た。
5巻からなるこの物語は、小学6年生の問題クラスの児童たちの心の奥底まで見せてくれてくれる。
様々な子どもたちの個性が時として一人称となりちりばめられていて、様々なストーリーを様々な角度から展開してくれる。
登場人物の一人一人が主人公のような展開である。
決して大人の目からの解説に収まろうとしないところが後藤さんのすごさである。
いじめ、不登校、多動…。
自分達の子ども時代とは異質の現在。
我が子を通して測ろうとしても解らぬ世界。
この本を読んでいると、学校からのメッセージとつながる所を感じた。
自分が現実を充分理解していなかったことを再認識。
だからといって、これは深刻な本ではない。
子どもたちがどの様な読み取り方をしているのか、気になるところである。