自然の摂理というのでしょうか。吉田さんのゾウシリーズを読んで、大自然でゾウのおかれた厳しさと、その厳しさに耐え、仲間への愛情を失わず、信じることの強さを学びました。
「じひびき」は、この絵本のラストからとられているかと思いますが、まさに自分の心にゾウのじひびきが伝わってきます。
トビバッタの群れに耐え、飢えに耐え、水枯れに耐え、ゾウはひたすら水のある場所を探し求めます。それは、ひいおばあさんゾウの指導力と信念の強さに支えられています。
今回は砂あらしの試練を乗り越え、またも仲間を失ってしまいます。
このシリーズを読んで一環して感じることは、自然の摂理は受け入れるしかないということ。それがゾウの宿命なのでしょうか。
砂あらしから生きのびた仲間の中で、おばあさんゾウが息絶えようとして苦しんでいます。ひいおばあさんゾウのとった行動は、「安楽死を与える」ということ、「死ぬことに手を貸す」ということ。この事実を、子どもに読むには残酷な気もするけれど、大自然を受け取ってもらうしかない。
全部が実際のことなのだから、それについてはあれこれ言えない。大自然は理屈ではなく受け入れること。
この絵本は最後にじひびきが聞こえるところで終わっています。
次の作品が読みたくなるとともに、ゾウの苦悩が早く報われる日が来てほしいと思いました。