色には確かにエネルギーがある。ミロコ画伯だからというわけではないが、その背後にものすごく観察されている気配が、感じられるからだろう。
大きな黒枝大木、紙の白、オレ(猫)の青、それだけ。
枝の先に小さなまぁるい「きいろ」が現れる。
と、オレ(猫)の青は首をかしげて、それを観察する。
ミロコ画伯がものすごく猫を、しげしげ観察された表情に吸い込まれる。時間が止まったまま、子どもらはオレに見入るに違いない。
そして、オレの青が動く! と、小さなまぁるい「きいろ」も動く!
てんとう虫だ!そこから怒涛の「きいろ」と「青」のバトルが始まる。
画面の下から、横から上から、動の世界が繰り広げられる。
「はへ はへ はへ」とオレの青は疲れ果て、ぐったり横になる。
静のひとときのオレ(猫)の表情にまた、しびれる。なんて観察眼なんだろう。眠りにつく静けさに、子どもらは息を飲むだろう。
「きいろ」の正体はお楽しみとしてとっておこう。
感動の画伯ミロコ力、観察力に絵本の底力を思い知った一冊だ。
感謝、感謝。