トヤはモンゴルの遊牧民の男の子。トヤの一家が引越しをします。
日本で引越しというと、トラックに荷物を積み込み、建物から建物へと移動しますが、トヤの引越しは違います。家(ゲル)をたたみ、他の荷物を一緒にラクダの背に乗せて運びます。自分たちも ラクダや馬に乗ります。
果てしない草原、砂漠、そして山を越えて着いたところは、美しい緑と青い湖のあるところ。ここで、新しい暮らしが始まるのです。
大いなる自然の中の人々や動物が愛らしく描かれていて心が和みました。特に、動物の親子の様子が何ともいえません。作者のお二人の優しさ、温かさが表れていると思いました。色使いもとても美しく、また、広い草原に大きくかかった虹は圧巻です。
いつのまにか溜まった持ち物に息苦しくなり、「すっきりした暮らし」「断捨離」「ミニマリスト」という言葉が脳裏をめぐる昨今、トヤたちの暮らしは私にとって、一つの指針です。暮らしに必要なほんの少しの物以外、あたり一面、人工的なものは何もありません。質素ですが貧しいということとは違う。同じ暮らしはできませんが、心に留めていたいです。