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ベルリンの壁が取り壊されて、もう35年も経つのだと感慨ひとしおです。 この絵本のように、家族が別れ別れになってしまったケースも多かったでしょう、強引に壁を乗り越えようとして命を失ったケースも少なくないのでしょう。 ベルリンの壁はなくなったけれど、家族が別れ別れにされてしまうことは、今もなお起こっていることを認識しなければいけないと思います。
投稿日:2024/08/07
ベルリンの壁が壊れたのをリアルタイムでニュースで見ていました。 その壁の影でこんな家族がいた、こんな生活を強いられていたというのは初めて知りました。 今の我が子と同じ年頃だったので、ニュースで事実だけ知るのではなく、内側のことをもっと知りたかったなあと今更感じました。 そんな娘と読もうと選びましたが、壁の経緯がまったく語られておらず、まずベルリンの壁ができた背景や壊れた時の様子を話さなければなりません。 あとがきでもあれば良かったのですが、世界史に弱い私にはちょっと難しく感じました。 この本を読む時は、ドイツの近代史の本を一緒に読まれるとよいでしょう。 子供たちにもそうやって紹介してあげた方がいいかと思われます。 切ないエピソードですよね。
投稿日:2016/07/28
絵本はくまさんやうさぎちゃんだけを描く世界ではない。 怪獣やあおむしだけが絵本の主人公ではない。 絵本は実に広い世界を描ける、表現形態だと思う。 例えば、昔話。しかも誰もが知っている世界であっても、絵本作家の画風によってとらえられる印象は違うし、現代風にアレンジすることもできる。 例えば、ファンタジー。これは絵本の得意とするところ。空を飛ぶ象がいたってダンスをするカバがいたっておかしくない。恐竜と戦うのだってへっちゃら。 例えば、今のおはなし。パパがいてママがいて、弟がいる。いや、パパのいない家庭だってあるし、ママのいない家だってある。おかしい話、悲しい話、たのしい話。なんでもあり。 そして、この絵本のように本当にあった歴史のひとこまを絵本として表現することだってある。できれば、誰かがそばにいて、周辺のことも話せたらずっといい。 絵本の世界は実に多様。 絵本に描けない世界は、もしかしたらないんじゃないかな。 この絵本が描かれたのは2014年。 1989年11月にベルリンの壁が壊されてから25年の月日が経っていた。 それまで描けなかったと訳ではないだろう。 だとしたら、その月日は何を意味しているのだろうか。 それは、記憶の風化のような気がする。 第二次世界大戦が終わって、冷戦時代にはいっていた1961年、突然西ベルリンを包囲するように作られた「ベルリンの壁」。 壁によって分断されたのは国家や思想だけでなく、家族や恋人たちもそうであった。 この絵本に登場する家族もそうであった。 父は西に、母と子どもたちは東に。 この「壁」を決死の覚悟で越えようとする人々がいた。 ある人は運よく、またある人は力尽き。 そして、絵本の少年もまた「壁」を越えようとする。 「壁」が壊されてたくさんの時間が過ぎていった。 その時間の経過の中で、かつて「壁」を乗り越えようとした人たちがいたことの記憶が薄れていく。ましてや、小さな子どもたちは「壁」の存在そのものを知らない。 絵本はそんな記憶をくっきりと蘇させる力さえもっているのだ。
投稿日:2016/04/10
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