原書:1967年、日本語版:2007年刊行。
アメリカのニューヨーク生まれの作者が、クリスマスの起源やクリスマス前の習慣とキリスト教が普及した後の様子、イエス様の誕生の話(聖書)や、クリスマスの祝い方などを教えてくれる絵本。
11月、12月になると日本でもクリスマス・セールが世間をにぎわすが、「本当の」「ちゃんとした」「本場の」クリスマスとは違う、「年末の売り出し」行事の一環としてとらえられていると私は常々思っている。
本当のクリスマスを探して、日本の教会やヨーロッパなどにも行ったし、いくつか本も読んだが、本当のクリスマスなのか、そうではないのかが、よくわからないで今に至る。
本書は、アメリカ生まれの筆者が経験したクリスマスの過ごし方や、聖書の話、ヨーロッパの古い習慣とキリスト教伝来後の習慣の違い、人々の意識の移り変わりなどを、絵本というわかりやすい形で、簡潔にまとめてある。
日本では、表面的な派手さと、特別なご馳走を食べて、プレゼントをもらえる日というところだけが強調されているが、本来は昔の人の冬を乗り越えるための季節の行事や宗教や信仰、見えない偉大な存在を尊重する表現などがあったことが、しっかりわかった。
生き残ることが大変だった昔の人々の素朴な願い。
娯楽が少ない時代の人々が、純粋に楽しみにしていた様子が伝わる。
美しい絵と、丁寧な文章で、神妙な気持ちになるクリスマスの本。