前作「大かいぞく」で海賊船を手に入れたゾロリ一家。早速、幽霊船に大改造して、アーサー王とエルゼ姫を誘拐し、いたずらの限りを尽くすが…
シリーズ化して、前の作品との関連が出てきた。順番に読んでいくと登場人物の背景がわかり更に楽しいが、1冊だけ読んでも十分に面白いつくりだ。さすが人気シリーズ。
ゾロリの男の嫉妬が大爆発する。しょうもない嫌がらせの数々は笑えるけれども、人間の嫉妬の浅ましさを改めて突きつけられている気もする。深読みすると恐ろしい。幸せな二人をねたみ、幸せをぶち壊してやりたい思いや、恋人を無理やり自分のものにしようとする身勝手さなど、大人の世界でも十分に問題になり、お話しにもなる要素が、そこここに発見される。子ども向け作品の中にも、しっかり人間のいろんな感情や人生の不条理さなどを感じ、無邪気に児童書を楽しめた時よりも、別の意味で面白さが倍増。
大人になってから児童書を読むと、物語のほかにも作者の心境や、当時の社会情勢、そのほかの余計な事にも関心が及んでしまい、よかったのか悪かったのか。まあ、それが人生か。