ニコルスンさんの愛娘メリーとその実際に使っていたおもちゃを題材に作られた作品です。
おばさんの家へ泊まりに行くことになったメリーが、自分の荷物をトランクに詰め始めます。
あこれも皆持って行きたいものばかり。
トランクにどう入れ替えても、うまく収まりません。
しまいに時間がなくなって、詰め忘れられたお人形が“かしこいビル”でした。
ビルの涙涙の落胆ぶりに、読者の子供たちも心揺さぶられることでしょう。
ここからが、このお話の楽しいところです。
ビルの健脚ぶりにあっけにとられ読み進みました。
メリーを想うビルの気持ちと懸命さにホロリとしてしまいます。
〈解説〉を読み、絵が文字の語らない細部を物語っている作品だと知り、再び絵を丹念に見入りました。
まさに、絵本を芸術的に洗練されたものにした記念すべき作品と呼ばれるにふさわしいと思いました。
子どもと人形の関係を描いた絵本の古典的作品として、イギリスの子どもの本の歴史上高い位置を占めている絵本だそうです。